新しい月経困難症治療薬「ジェミーナ」

 最近は自費で処方される「避妊用のピル」の種類が減ってきてしまい、現在当院でお出しできるのは第2世代のラベルフィーユか第3世代のファボワールのみになっています。
 その代わり、「月経困難症治療薬」として用いられる、要するに保険がきくピルの種類は増えてきました。現在発売されている月経困難症治療薬は、低用量と超低用量のものがあります。含まれている「エストロゲン(卵胞ホルモン)」の量によって低用量か超低用量に分類されています。
 9月に発売予定になっている「ジェミーナ」というピルは、超低用量の月経困難症治療薬です。どのピルがどのような特性を持っているのか、少し整理してみましょう。

 その前に、ピルの分類の仕方にいくつかポイントがあります。
 *含まれている卵胞ホルモン量での分類:高用量・中用量・低用量・超低用量
 *含まれている黄体ホルモンの種類による分類:第1世代・第2世代・第3世代・第4世代
 *ホルモン量が途中で変わるかどうかによる分類:1相性・3相性
 *連続投与できるかどうかの分類

<避妊用のピル>→いずれも低用量
第1世代:いずれも発売中止となり現在ない(オーソやシンフェーズ)
第2世代:トリキュラー・アンジュ・ラベルフィーユ(3相性)
第3世代:マーベロン・ファボワール(1相性)

<治療用のピル>
低用量
 第1世代:ルナベルLD・フリウェルLD(1相性)

超低用量
 第1世代:ルナベルULD(もうすぐフリウェルULDも発売になります・1相性)
 第4世代:ヤーズ・ヤーズフレックス(1相性)

 このうち、添付文書上で「連続服用可能」とされているのはヤーズフレックスだけです。でも実際は他のピルを偽薬や休薬期間を飛ばして連続服用している方はいらっしゃいます。
 今回発売になる「ジェミーナ」は超低用量で第2世代で1相性で連続服用可能、という既存のピルにない特性が組み合わさったものと言えます。これまで、第2世代の1相性タイプというのが存在しなかったのです。

 黄体ホルモンの「第なに世代」というのは、単純に開発された順に番号がついているだけです。どれがいい悪いはありません。副作用の出方も「一長一短」で、はっきり言ってどれが「自分に合うか」を見極めるだけなのです。
 それぞれの黄体ホルモンに多少の特性はあり、以下のような感じです。
  第1世代:比較的内膜が薄くなりやすいので出血量が減りやすいが不正出血も起きやすい
  第2世代:不正出血がおきにくくむくみや男性ホルモンの影響が出ることがある
  第3世代:不正出血もむくみも比較的起きにくいがしっかり出血するので月経痛が残ることがある
  第4世代:むくみは最も起きにくく出血量も減りやすいが不正出血はそこそこある

 これらの特性を理解して、今まで服用しているピルがある場合、不具合がなければわざわざ新しいピルに変える必要はないと思われます。
 低用量より超低用量の方が頭痛や吐き気は出にくくなりますから、現在低用量を服用していて吐き気が気になる場合は変えてみるのもよいでしょう。また、他の超低用量のピルで不正出血が止まらない場合も、黄体ホルモンの種類が変わることによって改善する可能性はあります。
 どのピルが自分にとっての「マイベストピル」なのかは、色々試してみないと分からないかと思いますので、「今のピルで何となく不具合があるから変えてみたいな~」という場合は主治医に相談してみるとよいでしょう。