子宮内膜症の手術療法

内膜症の手術療法は、開腹手術で子宮や卵巣を全部取ってしまう方法から、腹腔鏡下で卵巣のう腫だけを取り除く方法までバリエーションはイロイロ。

内膜症があるから必ず手術しなければいけないというわけではありません。手術が必要になるのは、

 

妊娠を望んでいて大きな卵巣のう腫や子宮腺筋症がある場合

薬物治療で症状が改善しない場合

チョコレートのう腫が大きい又は大きくなっている場合

40歳以上で4cm以上のチョコレートのう腫がある場合

腫瘍マーカーが高くて悪性腫瘍を否定しきれない場合などです。

 

内膜症を根本的に治すためには、子宮全体あるいは子宮と卵巣を全て取ってしまう「根治術」を行うことになります。この手術は基本的に今後妊娠を望んでいない方にしか行いません。症状がひどくて薬物治療も効かない場合、最終的に子宮をとるしかないんですね。

閉経までまだ期間があり、卵巣が腫れていない場合は子宮のみを切除します。チョコレートのう腫も一緒にある場合は、腫れている側又は腫れがひどい側の卵巣を一緒に切除し、片方の卵巣はできるだけ残すようにします。両方の卵巣が大きく腫れていたり、閉経まであと23年という場合は両側の卵巣も一緒に切除することもありますね。

根治手術は開腹手術になるので、10日前後の入院が必要になります。

 

妊娠を希望されている方に子宮腺筋症があって症状がひどい場合や不妊症の場合、妊娠できる状態を保ちつつ内膜症の病変を切り取る必要があります。こういったケースに対して行うのが、子宮の壁の中で腺筋症の部分だけを削り取る「腺筋症核出術」ですね。この手術も開腹手術で行います。

 

妊娠を希望されていて、チョコレートのう腫がある場合は、開腹手術ではなく腹腔鏡手術で卵巣のう腫を摘出することがほとんどです。ただし、チョコレートのう腫が両側にあって極端に大きい場合や、癒着が強くて腹腔鏡手術ができない場合は、開腹手術をせざるを得ないこともあります

内膜症の病変があることをそのものが不妊の原因になるので、妊娠を希望している場合は腹腔鏡手術でチョコレートのう腫の中身を吸い出したり、お腹の中を洗ったりするだけでも妊娠率の改善につながるんですよ。

 

チョコレートのう腫が大きい場合や、40歳以上で4cm以上のチョコレートのう腫を長期間経過観察している場合、途中でチョコレートのう腫が「悪性化」つまり癌になることがあります。ずっと様子を見ていたチョコレートのう腫がいきなり大きくなってきたり、腫瘍マーカーが上がってきたりしたら要注意です。

悪性化が疑わしい場合は、時間をおかず早めに手術で卵巣を取り除いた方が安全でしょう。また、40代以上の方で大きなチョコレートのう腫がある方は、悪性化してしまう前に手術しておくことをお勧めします

 

また、チョコレートのう腫も10cmを越えると破裂のリスクが高くなってきます。のう腫が破裂すると、ものすごい腹痛が出現したり、下腹全体に炎症や癒着が起きてしまうことがあるので、サイズが大きすぎる場合も早めに手術を検討した方がいいでしょう。

手術の必要性や適切な術式も、人によって異なってきますので、どの段階でどういった治療を行った方がいいのか、その都度よく相談してみてくださいね。