HPVは自然排出されません
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先日、HPVワクチンと子宮頸がん予防についての講演会の中で、HPVの自然史について新たな見解が述べられていました。「HPVは一度感染すると自然に体から排出される(消える)ことはない」というものです。
ネットにもよく、HPVは一度感染しても「免疫によって自然排出される」と書いてあるものをよく見かけるのですが、以前からこの説にかなり疑問を持っていました。
なぜなら、過去にHPVに感染したことのある人が、いったん検査で陰性化しても、その後新たな感染機会がないにもかかわらず再度陽性になるケースを何例も経験していたからです。
私自身も、何度か子宮頸部細胞診とHPV検査を組み合わせて検査を継続していますが、HPVが陽性になる時期と細胞診に異常が出る時期がずれていたり、いったん陰性化したHPVが、感染機会が全くないにも関わらず再度陽性になったりしています。
このことからも、検査でHPV陰性=ウイルスが体からいなくなった、というわけではないということがわかります。
検査で「陰性」となるのはあくまでウイルスの活動性が潜伏状態になったことを示しているにすぎず、ウイルスは体内に残っているのです。そして、何らかの原因でウイルスの活動性が再燃した時に検査をすると「陽性」になる可能性が高いと考えられます。
つまり、HPVにいったん感染したら、それはその先一生細胞に変化が起きてくるリスクを抱えることになるということです。
もちろん、感染した人の中で子宮頸がんに進んでいく人の割合は1000人に1人くらいですから、大部分の人が感染しても何ともなく過ごすことは可能です。
でも、HPVに感染する前にワクチンで感染そのものをブロックすることができれば、そもそもそのようなリスクを抱えることがなくなるわけです。
例え子宮頸がんにまではならなくても、HPV感染が明らかになったり、いったん「異形成」と診断されると、その先「がんになるかもしれない」という不安を抱え続けることになります。
そして、子宮頸がんになる人や子宮頸がんで亡くなる人が増えていることも事実です。
それを予防する方法があるのに、しかも、90%という高い割合で予防できるにもかかわらず、それを選択しないのは何のためなのか、それぞれが改めて考える時期に来ているのではないでしょうか?
厚生省が、HPVワクチンの積極的接種勧奨を差し控えるとしていた期間に、公費負担で接種可能だった方たちが、再度無料で接種可能になっています。
対象年齢の方には、各自治体から問診票とキャッチアップ接種のお知らせが届いていると思います。
自費で接種すると、3回で5万円前後かかるワクチンが無料で接種できるチャンスです。
必要だと思われた方は、ぜひご相談ください。