ホルモン付加子宮内システム(ミレーナ)の特徴
ミレーナの特徴は?
ホルモン付加子宮内システム「ミレーナ」は、子宮内避妊具の柄の部分にホルモンが含まれているものです。
今まで日本で認可されていた、普通のIUDや銅付加IUDと比べて、ホルモン付加型の子宮内避妊具にどんなメリットがあるのかと言うと、子宮内膜に対するホルモンの効果が期待できるという点です。
しかも、ピルを飲むのと違って、局所つまり子宮内膜だけにホルモンが作用し、血液中のホルモンの濃度はほとんど上がりません。そのため、例えば血圧の問題や肝機能の問題でホルモン剤を飲むことが出来ない方にも使うことができます。ピルで体重増加が見られた人も、ホルモン付加IUDなら体重に変化は見られなかったそうです。
ホルモン作用があるメリット
黄体ホルモンが子宮内膜に作用すると、内膜があまり分厚くならないので月経時の出血量が減ります。それにともなって、月経痛も減ります。
ミレーナを挿入して、1~2か月で、月経量はかなり減っていきます。挿入してから1年間で、約3割の方が無月経になっていくというデータもあります。
つまり、ほとんど出血が来なくなるくらい、出血量を減らすことが可能なのです。
卵巣は正常に働いていますから、ホルモンが足りなくて無月経になるわけではありません。卵巣機能は正常なのに月経が来ないのはちょっと不思議かもしれませんが、ピルを飲み続けている方の中にも自然に無月経になっていく方がいらっしゃいます。
これは病的な無月経とは異なりますから心配ありません。
避妊具の使用をやめれば、またすぐに正常な月経に戻ります。例えば出産後3年くらいは避妊しておきたいという方の場合も、避妊したい間だけミレーナを入れておき、そろそろ2人目・3人目をと思った時点で取り除けばいいので、便利に使うことができます。
授乳中でもミレーナは使える?
ちなみに、分娩後の方の避妊法としては、「コンドーム」「ピル」「ミレーナ」がありますが、1か月健診の後すぐに使用できるのはコンドームのみです。
授乳していなければ、ピルは産後6週間後から、ミレーナも同時期から使用が可能です。
ピルの場合は、妊娠中に何らかの理由で血栓症リスクが高くなっていた場合は、産後6週間たっても使えない場合があります。
授乳しているとピルは6~12ヶ月間は飲めません。授乳中は、生理が止まっていることが多いので、最初の月経開始を待ってピルを飲み始めればいいのですが、まれにしっかり授乳しているのに生理が再開する方がいらっしゃいます。この場合は、授乳の頻度や量によって、いつからピルを開始できそうか主治医と相談しながら決めることになります。
ミレーナの場合ホルモンが血液中にほとんど入らないので、授乳中にも問題なく使うことが出来ます。ただ、子宮内に異物を入れる事になるので、分娩後の子宮がちゃんと元の大きさや硬さに戻ってから使う必要があります。
WHOの基準では、分娩後6週間以降にミレーナを挿入することができると書いてあります。ただし、日本のデータでは、授乳中の場合、産後9か月未満で挿入した場合に子宮穿孔のリスクが高くなるという報告がありますので、授乳中は挿入時期を産後9か月以降にした方が安全と言えます。
授乳中だけど、早めに生理が再開したので、ミレーナを挿入したいという場合は、挿入時期を医師としっかり相談して決めるようにしましょう。