なぜ産婦人科医になったの?

 久しぶりに、メンターである本田晃一さんの動画セミナーを見てみました。内容的には、以前コンサルを受けた時に聞いたことのある内容だったのですが、「そういえば大事なこと忘れていたな~」と、あることを思い出させてくれたのです。セミナーの内容は「そもそも掘りをしてみましょう」という内容です。「そもそも掘り」って何だ?と思った方も多いかもしれませんね。
 「そもそも掘り」というのは、「そもそもの理由」をどんどん深堀りしてみましょう、というワークです。「そもそもなぜ今の仕事をしているの?」「そもそもなぜその夢を叶えたいの?」といった感じで、「理由の裏に隠れている本当の理由」を見つけ出していくものです。

  私が「産婦人科医」になった理由は二つあります。

 一つは、自分が「女性である」ということを最大限に生かした仕事がしたいと思ったからです。医学部に入ってみて実感しましたが、医者の世界ってまだまだ男性優位なところがあるんです。例えば、外科で年配の男性患者さんに「担当させていただきます」と言っても「男の医者を出せ」なんていわれることもある世界です。私の学年はほかの学年と比べて女子学生の数が倍近かったのですが、入学時にある教授から「今年の受験は失敗だ」と言われた記憶があります。女性が多いと「戦力が減る」のだそうです。

 そんな中で、自分が「女性である」というだけで喜んでもらえる場所が「産婦人科」というフィールドだったのです。今でも、患者様から「女性医師だけがやっているクリニック」という理由で選んでいただくこともしばしばあります。下手に男性と肩を並べて体力勝負をしたりするより、何の無理もしなくても「ただ女性である」ということがプラスになるフィールドに行けばいいじゃない、と思ったのです。

 もう一つの理由は、学生のころから「女性をトータルにサポートする仕事がしたい」と思っていたからです。「女性のサポート」は言い換えると「真の女性性の開放」であり、実は、かなり前の過去生から引き継いだ使命なのです。

 過去生の記憶の中では、私は女性性の開放をしようと試みていましたが志半ばで死んでしまったんですよね。なので、その人(と言っても自分ですが)から引き継いだ大切な使命を全うするために今の仕事をしているんです。私が中学の時に「女のくせに生意気だ」といって男子生徒からいじめられた体験も、母を含めて身近な女性たちがジェンダーバイアスに悩む姿を目の当たりにしてきた経験も、全部「いかにして女性性を開放するか」を考えるための道しるべとなるものなのです。

 産婦人科医の仕事は、病院に勤務していてもできますが、私は自分のやりたい医療をやりたいように実践していきたいと思ったので開業という形をとりました。単に「病気」という状態だけを見て、薬で押さえるのではなく、1人の「女性」としてその人の背景まで見たり、根本的な原因にアプローチして「本来の輝き」が取り戻せるようにお手伝いしたりするには、今の形が一番良いと感じたからです。
 そしてもう一つ、自分が「仕事か出産か」の二者択一の人生から飛び出して、好きな仕事を好きなだけしながら妊娠・出産・育児もする、という人生を実践することで、「こんな生き方もあるんだよ」というメッセージが発信できたらいいなと思ったのです。仕事をしながら出産もするには、当直や急な呼び出しがなく、終業時間もきっちり調整できる、外来のみの予約診療という形がベストでした。自分にとって必要なことを必要な形で整えたら、今の状態に落ち着いたというわけです。