無痛分娩にトラブルが多い本当の理由

  無痛分娩に関しては、分娩時のトラブルについての報道が相次いだりした影響か、最近はあまり質問されなくなった印象ですが、中には「どうしても陣痛に耐えるのが嫌!」「痛みに弱いので今から陣痛が恐怖」といった理由で無痛分娩を希望する方もいらっしゃいます。個人的にこのような理由で無痛分娩を選択することは、お勧めしていません。それは、色んな意味でご本人にも赤ちゃんにも良い影響が残らない可能性が高いからです。
 
 無痛分娩の医学的リスクは以下のようなものが挙げられます。
  *「産科麻酔」という特殊な麻酔の技術が必要→麻酔によるトラブルが起こりうる
  *麻酔が効きすぎると分娩停止のリスクがある
  *自然な分娩なら必要なかった帝王切開・吸引分娩・鉗子分娩が必要になる可能性がある

 いずれも、技術の高い医師が充分なマンパワーのある病院で万全の態勢で行えば、そのリスクをかなり下げることはできるものですが、これらのリスクを「ゼロ」にはできません。
  
 一方で、無痛分娩のメリットもあります。痛みが少ないおかげで分娩時の心身のダメージが少なく産後の体調の回復が早くなったり、分娩時に赤ちゃんとのやり取りを楽しむ余裕ができたり、といった点が挙げられます。
 ただ、実はこれらのメリットも、無痛分娩でなくても得られるものです。分娩までの様々な心身の「準備」を整えておけば、それほど痛みに苦しむことなく幸せなお産を行うこともできます。
 痛みの感じ方は個人差が大きいと言いますが、本来の姿に戻ることができれば、どんな女性でも陣痛によってダメージは受けないようになっているのです。

 最終的に無痛分娩を選ぶかどうかは、ご本人や家族の意向によると思いますが、無痛分娩にトラブルが多い原因は、実は「なぜ無痛分娩を選ぶのか」の理由によるところが大きいのです。
 心臓の病気などによる医学的適応で無痛分娩を選択するケースを除いて、ほとんどのケースでは「痛みに耐えることが嫌!」「痛みが怖い」という「避けたいものを避ける」目的で、脳が「苦痛を感じて」その選択を行っています。つまり、無痛分娩という選択を行う時点で、自ら苦痛を背負い込みながら嫌なことを避けたいという状態を思い浮かべているわけです。この状態で選択した「無痛分娩」というものが、良い結果をもたらしてくれるはずがありません。

 以前、コンビニのお惣菜が体に悪影響を及ぼすのは、コンビニ食を「選ぶ時の脳の動き」が原因であると書きましたが、実は無痛分娩という選択にも同じことが言えるのです。無痛分娩そのものが悪いわけではありません。なぜ無痛分娩をしたいと思ったのか、その理由がとても重要です。無痛分娩を選ぶ時、自分の頭の中にどんな映像を思い浮かべているかということです。

 もし、どうしても無痛分娩が選びたいけれど、その悪影響が出るのが心配という場合は、まずは「なぜ無痛分娩を選ぶのか」の理由を書き換えていくといいでしょう。
 そして、無痛分娩かどうかはひとまず置いといて、自分にとっての理想のお産とはどのようなものなのか、そこに至るまでにお腹の中の赤ちゃんとどのような関係を築いていきたいのか、その点をもっとしっかりイメージしていくことをお勧めします。
 

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