あなたは病気をやめられない人?あっさりやめられる人?~その6~

 

 病気をやめる8つのポイントの5番目は、「無意識に求める欲求の方向性が間違っている(生き残ることや安心・安全を無意識に求めている)」かどうかのチェックです。  

 特に、自分の病気が重症である・難病であるというと認識している人ほど、病気をやめる理由が「死にたくない」「死ぬのが怖い」「生き残りたい」などの「生存欲求」になってしまいがちです。表の意識で毎日「死にたくない」と考えていなくても、頭の片隅にいつも「死にたくない」という恐怖心や不安感があると、無意識のうちに「生き残ることや安心感」を求めてしまうものなのです。    


 この状態を洗い出すための質問はシンプルです。 


 Q:心の奥で「生き残ること」を求めていませんか? 

 Q:心の奥で「安心・安全」を求めていませんか?  


 これらの質問をされても「え?それが当たり前でしょう?」と思う方も、多いかもしれませんね。でも、これらを求めているからこそ、いつまでたっても健康にならないし、病気以外にも何かとつらい出来事が起きてしまうのです。

  

 東大と梯谷先生との共同研究の中で、こんな実験データが出ているそうです。  

 動物は、生き残ることや安心・安全を求めていると、「苦痛な記憶」ばかりを保存したがる、というデータです。  


 なぜだかわかりますか?  

 例えば、ホワイトボードに白いペンで文字を書いたらどうでしょうか?黒板に緑色のチョークで文字を書いたらどうでしょうか?  文字が見えませんよね?  

 健康な状態という背景に「健康」という文字を書いても、ホワイトボードに白いペンで書いているようなものなのです。「健康」という文字を浮き立たせるには、どんな背景が必要なのか、もうお分かりですよね?病気でいればいるほど「健康」という文字はくっきりと浮き立って見えますし、それを実感しやすくなるわけです。 


 「生き残りたい」という感覚を際立たせるためには「死」を意識する出来事が必要です。  

 「安心・安全」を実感するためには「苦しい」「危険」な状態があった方がより切実に「安心」を味わえるのです。  

 わかりにくい人は、あんこを作ってお砂糖たっぷりを入れただけの状態と、一つまみ「塩」を入れたものと、味を比べてみてください。どちらがよりおいしく感じるでしょうか?    


 このように、脳は「求めているものをよりしっかり実感できるように対局の状況を生み出す」ことに一生懸命になるという特性があります。これが「脳は逆に作用する」というからくりです。  

 では、あっさり病気をやめるためにはどうすればいいのでしょうか?  

 簡単です。  

 この「脳は逆に作用する」を逆手にとって利用してしまえばいいのです。  


 生存欲求の対局は目的欲求です。「何のために病気をやめるのか」「何のために生きるのか」をはっきりさせて、自分が「求めないもの」を明確にすればいいだけです。  

 例えば、「これを達成するために死は選ばない」「志半ばで死なない」「これをやるために寝たきりにはならない」といった、「なりたくない状態」をはっきりさせていきます。前回やった「避けたい状態を明確にする」のと似ていますね。  

 「死んでいる自分」を際立たせるためには、脳は背景をどのようにセットするでしょうか。人は「死を意識した時」ほど生命力を発揮するというのは、こういうことなのです。  


 「脳は逆に作用する」をうまく利用しているのが、ミリオネアたちの「欲しくないもの」「やりたくないこと」をはっきりさせるという習慣です。ミリオネアたちは、定期的に「やらないことリスト」を作るのだそうです。「やらないこと」を明確にすることによって、「やりたいこと」をはっきりさせていっているのです。そして「手に入れたいもの」を脳が勝手に思い描くように仕向けているんですね。  

    


 次の記事では、6番目のチェックポイントである「人から好かれたい・嫌われたくない・認められたいと思っていないか」について解説していきますね。