子宮筋腫
女性が貧血になる原因
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男性に比べて女性の方がもともと血液が薄く、貧血かどうかの基準である「血色素(ヘモグロビン)」の正常範囲が男女で異なります。
その基準値に当てはめても女性の方が「貧血」と診断されることが多いのは、何といっても「月経」があるからです。
毎月定期的に血液を失っているわけですから、月経量が少しでも多かったり、月経周期が短かったりすると簡単に貧血になってしまいます。
もちろん、食事からとる鉄分の量が少なかったり、運動や発汗で鉄分を失うということもありますが、月経の影響が圧倒的に大きくなります。
逆に言えば、思春期前(初経前)や閉経後の女性が貧血になっていたら、それは何か重大な病気が隠れている可能性を考えなければいけません。
貧血を指摘されて婦人科疾患が何もなかった方でほかの病気が見つかったケースは
*再生不良性貧血(血液の病気)
*胃潰瘍
*大腸の炎症性疾患
などです。
月経量が多いかどうかを判断する一つの目安は「一番多い日に普通の日用ナプキンが2時間もつか」です。
もし、昼間でも夜用ナプキンが必要だったり、普通のナプキンでは2時間もたない場合は出血量をコントロールしておいた方がいいでしょう。
よく、「レーバー状の塊が出るかどうか」をチェックしましょう、と書いてあったりしますが、塊が出てきても、トータル量としてナプキンが3~4時間持つ量であれば、月経量は正常範囲の可能性があります。
月経量が多くなる原因として多いのは、子宮筋腫や子宮腺筋症、そして子宮内膜増殖症です。
また、これらの「子宮の形」に異常をきたす病気がなくても、ホルモンのアンバランスや体質的な個人差の範囲で、月経量が増えることもあります。
健診のたびに貧血を指摘されたり、月経量が多いなと感じている人は、これらの病気がないか一度は婦人科で検査を受けることをお勧めします。
日付:2023年6月24日 カテゴリー:子宮内膜症,子宮筋腫
「子宮のこぶ」は誰に対する感情のしこり?
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子宮筋腫は、子宮の壁にできる「こぶ」です。
つまり、女性性や妊娠出産の象徴である「子宮」に何らかの「しこり」を作り出しているということです。
日付:2021年5月24日 カテゴリー:子宮筋腫
子宮筋腫の方向けチェックリスト
クリニックの診療の中にもトランスフォーメーショナルコーチの技術を活かしたくて、実験的にセルフチェックシートをお渡ししています。
中には、自分でチェックをつけただけで「あ!そうか!」と気づいて、病気という表現をやめるヒントを得てくださる方もいらっしゃいます。
診療の中ではセルフチェックした後に、私が簡単なフィードバックをさせていただいているのですが、チェックをつけるだけでも実はお試しカウンセリング受けたくらいの効果が期待できます。
ブログでも、チェックシートを順次公開していきますので、ご自身の症状に当てはまるものを試してみてくださいませ。
<子宮筋腫が気になる方向けチェックシート>
子宮筋腫の方は、「おなかにイチモツ抱えている」ことがよくあります。特に、ジェンダーや男女関係に対する「怒り」や「不満」を抱え込んでいるケースが多く見受けられます。
以下の項目で当てはまるものがないか、セルフチェックをしてみてください。
□パートナーや「男性」に怒りを抱えていた
□ずっとおなかに「イチモツ」抱えていた
□感情の「しこり」を持ち続けていた
□こぶしを上げたい相手がいるのにずっと引っ込めてきていた
□柔軟な考えができなくなっていた
□自分を狭いところに押し込めようとしていた
□誰かに圧力をかけてきていた
□誰かに圧力をかけられていると感じていた
□ジェンダーバイアスや男女の不平等さに憤りを感じることがよくあった
□男性に勝ちたいまたは男性に負けたくないと思っていた
□男性は自分より下の立場だと思っていた
□母親が父親のことをよくけなしていた
チェックをしてみて、もっとこのテーマについて掘り下げた方がよさそうだなと感じたら、カウンセリングを受けていただくことをお勧めします。クリニックでは、3名のトランスフォーメーショナルコーチによるカウンセリングを承っております。カウンセリングの詳細はhttp://be-proud-07.sakura.ne.jp/vivalita.com/staff.htmlをご参照ください。
また、いきなり本格的なセッションには抵抗があるという方のために、30分5000円で「プチセッション」をご体験いただけるようにしました。ご興味がある方は、お気軽にお問い合わせくださいませ。
お問い合わせ先:045-440-5577 info@vivalita.com
日付:2016年4月27日 カテゴリー:婦人科の病気,子宮筋腫
子宮筋腫の新しい治療法
子宮筋腫の一般的な治療については、「薬物療法」や「手術療法」に関してご紹介していますが、新しく保険適応になった治療や、現在はまだ保険適応ではないけれど選択肢の一つとして考えることができる治療法があります。
子宮動脈塞栓術(UAE)は、子宮筋腫を栄養している血管の中に、あえて血流を止める異物を流し込んで血管を詰まらせ、筋腫に栄養がいかないようにする治療です。筋腫への血流が途絶えれば、筋腫は小さくなっていきます。子宮全体を栄養している大きな血管はちゃんと血液が流れるようにしながら、筋腫の部分に枝分かれしている血管だけを詰まらせるので、子宮全体への悪影響は出ません。
今まで、UAEは自費の治療だったために、治療費が数十万かかってしまい、なかなか選択しにくいものでした。昨年UAEに使われる「エンボスフィア」という医療材料が保険で使えるようになったので、この材料を使ってUAEを行う場合にのみ、治療が保険で受けられます。同じ治療でも、使う医療材料が保険適応外のものになると、治療に関わるすべての費用が自費になってしまいますので、注意が必要です。
UAEのメリットは、手術と異なって入院期間も短く、治療の翌日から普通に動ける点や、薬物療法のように全身への副作用がないということです。デメリットとしては、十分に筋腫が小さくならない(症状が軽減しない)可能性があることや、まれに血流が途絶えた筋腫が「変性」という状態になり、そこに感染が起きて腹痛の原因になることがあります。
UAEの治療が受けられる病院は、まだ限られていますので、治療法として考えてみたいなという場合は、まずどこで治療を受けたいのかを自分で検索し、現在のかかりつけ医に紹介状を書いてもらうのがスムーズでしょう。
日付:2015年8月22日 カテゴリー:子宮筋腫
子宮筋腫の症状
子宮筋腫は、子宮の筋肉の壁にできる良性の腫瘍=コブです。小さいものも含めると、30歳以上の女性の3人に1人は発見される、子宮の病気の中では最もメジャーなものですね。筋腫ができる原因は、はっきりと解明されていません。母親も叔母さんも姉妹にも筋腫があります、って人は割と多いので、何らかの遺伝的要素はあるのではないかと言われています。
筋腫ができる場所や大きさによって症状の出方は異なりますが、全く症状がなくて検診でたまたま発見される人も少なくありません。特に最近は、超音波検査が普及してきたので、触っただけでは発見できなかった小さな筋腫も発見されるようになってきました。
逆に自覚症状がある場合、一番多いのは過多月経や過長月経、つまり月経の量が多くて期間も長いので貧血になってしまうケース。筋腫が子宮のお部屋の中に飛び出していたり、子宮のお部屋を引き伸ばして変形させてしまうために、出血量が増えてしまうんですね。ひどいと、ナプキンが1時間持たなかったり、貧血が進みすぎて輸血が必要になることもあります。
月経量は人と比べることができないので、本当は過多月経なのに自分では異常だと気づかずに放置してしまうこともありますからちょっと注意が必要です。健康診断で貧血を指摘されたことのある人は、一度は婦人科で筋腫がないかチェックしてもらった方がいいでしょう。
筋腫が握りこぶし以上の大きさになると、自分でも下腹の辺りにしこりを触れることがあります。さらに大きくなりすぎると圧迫による症状が出ることもありますね。子宮の前には膀胱があるので、筋腫が膀胱を圧迫するとトイレが近くなったり、逆に尿がスムーズに出せなくなってしまいます。周りの腸を圧迫すれば便秘になりますし、尿管を圧迫すれば「水腎症」と言って腎臓が腫れてしまうこともあります。ただし、ここまでひどい症状が出るのは筋腫が相当大きくなってから。通常はそんなに大きくなる前に何らかの治療を勧められることが多いでしょう。
稀に、妊婦さんのようなお腹になって初めて婦人科を受診して、お臍の高さを超えるくらい大きな筋腫が発見される方もいらっしゃいます。「何となく太ったな~と思っていました」なんてのんきなことをおっしゃいますが、これほど大きくなると手術をするにしてもかなり大変です。
例え症状がなくても、年に1回は超音波検査を受けるようにして下さいね。
子宮筋腫の診断方法
筋腫の診断は、主に超音波検査で行います。腟から超音波の機械を入れて子宮や卵巣を直接写し出していくので、1cm未満の小さな筋腫まで発見することができるんですよ。
粘膜下筋腫といって筋腫が子宮のお部屋の中に飛び出しているように見える場合、正確な位置や飛び出し具合を確認するために「子宮鏡検査」を行うこともあります。子宮鏡は、細いカメラを子宮の出入り口から挿入して、子宮のお部屋の中を観察することのできる検査です。粘膜下筋腫や子宮内膜ポリープが疑われる時に、外来で行います。
また、筋腫が大きい場合やたくさんある場合、サイズや位置関係をより正確に把握するためにMRIの検査を追加することもあります。MRIの検査は、主に手術をすることを前提に詳しい情報を得る目的で行うことの方が多いですね。
これらの検査結果や症状の有無などを合わせて、治療法を相談していきます。
子宮筋腫の治療が必要なケース
子宮筋腫が発見されたからといって、必ずしも治療が必要とは限りません。症状も全くなく、大きさも10cm以下で妊娠も望んでいない場合、通常は半年から1年に1回超音波検査で大きさの変化を見るだけですみます。どんどん大きくなっている場合や、急激に大きくなった場合は、途中で手術を勧められることもありますが、閉経までただ定期検査を受けるだけって人も結構いらっしゃるんですよ。
筋腫は女性ホルモンを餌にして大きくなっていくので、閉経までは大きくなる可能性があります。逆に閉経後は大きくなることはなく、むしろ徐々に縮んでいきますから、閉経まで持ち越せればそれ以降治療が必要になることはめったにありません。
筋腫で治療が必要になるのは、主に次のようなケースです。
1)過多月経や月経痛の症状がひどい場合
2)大きさが大きい又はどんどん大きくなっている場合
3)大きさが大きくて圧迫による症状がひどい場合
4)妊娠を望んでいて筋腫が妊娠の妨げや
流産や早産のリスクになる場合
1)の場合、まずは薬で出血量のコントロールができるかどうかを試してみて、有効であれば薬物療法だけで様子を見ることができます。
2)~4)の場合は、いずれも手術が必要です。
また、最近は筋腫を栄養している血管を詰まらせる「子宮動脈塞栓術」や、MRIを見ながら高周波の超音波を集中させて筋腫に当てる「高周波超音波集積治療」などの新しい治療も出てきています。どうしても手術以外の治療法を選びたいという場合は、これらの治療を行っている病院で、本当にその治療が可能なのかどうかをまずは相談してみるといいでしょう。
子宮筋腫の薬物治療
子宮筋腫の薬物療法には、ピルで出血量を減らす方法と、「偽閉経療法」という月経を止める方法があります。
ピルは、タバコを吸わない健康な女性であれば副作用もほとんどなく長期間飲み続けることができるので、出血量のコントロールだけならとても有効なことも多いんですよ。ただ、人によってはピルを飲んでもあまり出血量が減らなかったり、ダラダラと不正出血が続いてしまうこともあるので、ピルを試したけれど結局手術が必要になるというケースもあります。
偽閉経療法は、その名の通り薬で女性ホルモンの働きを抑えて「閉経」の状態を作る方法です。月経が来なくなるので出血量で困ることもなくなりますし、閉経後に筋腫が縮むのと同じように、多少筋腫が小さくなります。
ただし、まだ閉経ではない時期にいきなり女性ホルモンが出なくなってしまうので、のぼせやほてりなどの更年期症状が出たり、骨がもろくなってしまったりといった副作用があります。長期間使うと骨粗鬆症になってしまうので、偽閉経療法の薬を半年以上は続けて使ってはいけないことになっています。
なので、通常は閉経まであと1~2年という人が、閉経まで何とか手術をせずに持ち越せるようにするために使うか、手術前に少しでも筋腫を小さくしておいて手術をしやすくする目的で使うことが多いですね。
長期間続けて使うことはできないので、20代や30代で偽閉経療法を行うのは、よほど貧血がひどくてとりあえず月経を止める必要がある場合か、手術を前提とした場合に限られますす。
また、過多月経の新しい治療法として、ホルモン付加子宮内避妊具「ミレーナ」を入れるという方法も選択できるようになりました。筋腫による不快な症状が、過多月経や月経痛ならミレーナで月経を軽くするという方法も選択肢の一つとなります。
ただし、ミレーナは経膣分娩をしたことがある方でなければ入れにくい可能性があるのと、筋腫による子宮内の変形が大きい場合は入れられない又は入れてもすぐに出てきてしまう可能性があります。
ミレーナが入れられる状態かどうかは医師の判断によります。ミレーナでうまく月経がコントロールできれば、コスト的にも一番負担が少ない方法になりますので、経膣分娩経験のある、今後妊娠を希望されない方は検討してみてもよいと思われます。
子宮筋腫の手術療法
子宮筋腫の手術療法には、「子宮全摘術」「筋腫核出術」「子宮鏡下筋腫核出術」などがあります。
子宮全摘術は、お腹をあけて子宮全体を摘出する手術です。子宮全体をとるので、当然その後の妊娠は望めなくなります。なので、通常は今後妊娠を望まないという方のみに行う手術です。30代でお産をしたことがない方にこの手術を行うことはめったにありませんが、筋腫が無数にあって子宮を残すのが難しいケースや、ご本人がどうしても子宮全体を取ってほしいと希望された場合は行うこともあります。
卵巣に異常がなければ、両側の卵巣は残したまま子宮だけを取るので、子宮全摘術を行ったからと言ってホルモンのバランスが崩れるわけではありません。子宮全体を取るので、筋腫の再発もありませんし、今後子宮の病気になることはなくなります。
入院期間は病院によって異なりますが、開腹手術つまりお腹をあける手術なので、大体10日前後の入院が必要になります。術後の回復に問題がなければ、退院後1週間程度で日常生活に戻れます。
筋腫核出術は、筋腫のコブだけをくりぬいて子宮は残す手術です。主に、今後妊娠を希望する方に行う手術です。ただし、最近は妊娠する年齢が非常に高齢化してきているので、医学的には妊娠が難しい年齢でも子宮を残したいと希望される場合もあります。また、妊娠は望んでいないけれど「子宮を残す」ということにこだわる方もいらっしゃいますから、必ずしも妊娠することを前提とした手術とはいえません。
筋腫が大きい場合や数が複数ある場合は、たいてい開腹手術で行います。ただし、筋腫の大きさがそれほど大きくなければ「腹腔鏡補助下手術」を選ぶこともできます。腹腔鏡でのぞきながら筋腫を細かく砕いていき、小さな穴から取り出すので、手術の傷を小さくすることが可能です。腹腔鏡補助下手術の場合、1週間程度の入院ですむこともありますが、開腹手術だとやはり10日前後の入院になります。
子宮全摘術と異なるのは、子宮が残っているので手術後も筋腫が再発するリスクがあるのと、手術の時の出血量が多くなりやすいという点です。子宮全摘術と筋腫核出術を迷っている場合は、それぞれのメリットとデメリットをしっかり把握した上で主治医とよく相談しましょう。
筋腫をとった後の子宮の壁はもろくなっていることもあるので、将来的に帝王切開が必要になることもあります。絶対に帝王切開でなければいけないのか、下からのお産つまり経腟分娩が可能なのかは、手術をした医師にしか分かりませんから、これも主治医にしっかり確認しておく必要があります。
子宮鏡下筋腫核出術は、子宮のお部屋の中に飛び出している粘膜下筋腫に対して行う手術です。細いカメラを腟の方から子宮内に入れて、子宮のお部屋の中をのぞきながら、カメラの先から出ている電気メスで筋腫のコブを削っていきます。お腹をあける手術と違って傷はつきませんから、入院期間も数日ですみます。
ただし、筋腫の大きさが大きいと一度の手術では取り切れなかったり、すぐに再発してしまうこともあるので、何度かにわけて手術を行うこともありますね。この手術は、粘膜下筋腫以外には行えませんから、全ての筋腫が子宮鏡下で取れるわけではないんですよ。
どの術式を選ぶかも、筋腫の状態や妊娠の希望の有無などによって異なってきますから、手術が必要と判断されたらどういった選択肢があるのかをきちんと自分で把握するようにしましょうね。