主な婦人科の病気
月経不順・無月経
正常な月経周期は25日~38日です。これより月経周期が短くても長くても「月経不順」ということになります。月経が全く無い状態が3ヶ月以上続いたら「無月経」です。月経不順や無月経の原因は、ストレス・冷え・急激な体重の増減など様々です。たまに月経が2週間程度遅れることがあるという程度であれば、身体を冷やさないようにして規則正しい生活を心がけていれば問題ありません。月経が月に2回以上来る事が続いたり、月経周期が毎回60日以上あく場合は、早めに受診することをお勧めします。
月経不順の治療は、卵巣の働きの程度に合わせて、漢方薬のみで様子を見たりピルでホルモンバランスを整えたりします。妊娠を希望されている方には、排卵誘発剤を使うこともあります。
月経痛・月経困難症
月経時に出る下腹部痛や腰痛が月経痛です。痛みが強くて日常生活に支障をきたしたり、吐き気や頭痛や下痢などの症状も伴っている場合は「月経困難症」といいます。毎回痛み止めを1日に何回も飲まなければいけなかったり、痛み止めを飲んでも効かない場合は治療の対象になります。特に、痛みが年々ひどくなっていっている場合は内膜症などの病気が隠れいていないか調べておいた方がいいでしょう。
月経痛の原因は内膜症や子宮筋腫などの病気によるものと、冷えや血行不良などの体質によるものとに分けられます。症状が軽ければ漢方と痛み止めで様子を見ることもありますが、ひどい場合は低用量ピルで月経を軽くする方法が有効です。特に、内膜症による痛みの場合は様子を見ずに何らかの治療をしておくことをお勧めします。
月経前症候群(PMS)
排卵後から月経直前までの期間に、心身の不調が出る病気です。
症状が出るタイミングは月経前10日からという人もいれば直前の1~2日だけという人もいます。症状も、頭痛・めまい・むくみ・下腹部痛・腰痛といった体の症状や、イライラ・気分の落ち込み・集中力の低下・突然涙が止まらなくなる・過食といった心の症状まで様々です。PMSの原因は、排卵後に増える黄体ホルモンではないかといわれていますが、それ以外にも炭水化物に偏った食事やストレスなどが症状悪化の原因になります。
治療の基本はカウンセリングと生活改善です。人によっては低用量ピルが非常によく効きます。漢方薬やサプリメントが有効な場合もありますし、抗不安薬や抗うつ薬が必要な場合もあります。
更年期障害
閉経の前後10年を「更年期」といって、ホルモンのバランスが崩れやすく、のぼせ・ほてり・イライラ・不正出血などの症状が出やすくなります。これらの症状を「更年期症状」といいますが、症状がひどくて日常生活に支障を来たす場合を「更年期障害」といって治療の対象になります。
更年期かどうかの検査は血液検査でホルモンを調べればある程度分かります。女性ホルモンはまだそんなに低下していないのに更年期症状が強く出る方もいらっしゃいますので、数値よりも自覚症状の強さによって治療を検討した方がいいでしょう。
治療の基本はホルモン補充療法(HRT)になります。子宮がある人は「エストロゲン」と「プロゲステロン」の2種類のホルモンを、子宮を手術などで摘出した人は「エストロゲン」の1種類だけを補います。飲み薬・貼り薬・塗り薬など様々なホルモン剤が発売されていますので、自分に一番あった方法を見つけるといいでしょう。
ホルモン補充療法の他にも、漢方薬やサプリメントが有効であったり、カウンセリングを併用した方がいい場合もあります。
子宮筋腫
子宮の筋肉の壁にできる良性の「コブ」です。小さいものも含めると、30歳以上の女性の3人に1人は筋腫があります。症状が全くなく、それほど大きくないものでしたら治療は必要ありません。急激に大きくなることもあるので、半年に1回くらいの頻度で超音波検査を受けて大きさをチェックしておけば安心です。
月経量が多かったり月経痛がひどくなる原因となっているようでしたら治療が必要です。また、大きさが10センチを越えていたり、大きすぎて圧迫による症状が出ている場合も治療の対象になります。
治療は手術療法と薬物療法があります。手術の場合、筋腫のコブだけをとる方法と子宮全体をとる方法がありますが、どのような治療を行うかは筋腫の場所や大きさ・年齢・妊娠の希望の有無によって異なってきます。薬物療法の場合、低用量ピルで出血量を減らしたり、月経を止める「偽閉経療法」を行ったりします。
子宮内膜症
本来子宮のお部屋の中にしかないはずの「子宮内膜」が卵巣や腸の表面にできる病気です。子宮内膜は月経のたびに出血するので、卵巣の中やおなかの中に古い血液がたまってしまいます。卵巣に内膜症ができると、内膜症性のう胞=チョコレートのう腫になります。内膜症が子宮の壁にできたものが「子宮腺筋症」です。
内膜症の主な症状は月経痛です。特に、痛みが年々ひどくなっていく場合は、内膜症の可能性がないかきちんと調べた方がいいでしょう。子宮腺筋症の場合、月経量も非常に多くなります。
主な治療法は手術と薬物療法です。内膜症性のう胞が大きい場合や妊娠を希望している場合は、手術でのう腫を取り除きます。子宮腺筋症の手術は、腺筋症の部分のみを削る方法と子宮全体をとる方法があります。薬物療法はピルや黄体ホルモンなどのホルモン剤による治療が中心になります。
卵巣嚢腫
良性の卵巣の腫れを卵巣嚢腫といいます。3~4センチの腫れであれば、定期的に大きさを見るだけで治療は行わないことが多いですが、どんどん大きくなっていく場合や、腹痛などの症状がある場合は手術の対象になります。
卵巣が腫れているかどうかは、症状や触診では分からないことがほとんどです。中には、10センチを越える大きさになるまで気づかなかったり、突然の腹痛で発見される方もいらっしゃいますので、定期的な超音波検査で確認しておくことをおすすめします。
不妊症
適切な頻度で夫婦生活を持っているのに、2年間たっても妊娠しない場合を「不妊症」といいます。
不妊の要素として一番大きいのは「加齢」です。30歳を過ぎると年齢とともに妊娠率は低下するため、30代後半や40代ではスムーズに妊娠できない方も増えてきます。他にも、卵巣の働きや卵管の通り具合など様々な因子が不妊に関係してきます。不妊症の方の3割は男性側に原因があり、2割は両方に原因がありますので、男性側の因子もないかどうか調べる必要があります。
ホルモンの値や卵管の検査を行い、原因があればそれに対する治療を行っていきます。特に原因がない場合、タイミング法→排卵誘発→人工授精→体外受精といった段階を追った治療を行っていくことが多いです。ただし、年齢によってはすぐに人工授精や体外受精が必要になることもあります。
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